MEN-Net.org 多発性内分泌腫瘍症情報サイト


新着ニュース
MENについて
医療関係者の方へ
関連サイト

 
ごあいさつ「MENについて」コンテンツ MEN1とは? MEN2とは? 遺伝について 遺伝カウンセリングについて 患者様・ご家族様へ MEN患者・家族の会 札幌医大附属病院 臨床遺伝外来

札幌医大附属病院の臨床遺伝外来では、遺伝の問題について心配や不安を持っている方や、ご本人やご家族が遺伝性の病気である可能性を告げられた方のご相談をお受けしています。

詳しくはこちらをご覧ください。

 

信州大医学部附属病院 MEN専門外来

信州大学医学部附属病院遺伝子医療研究センターでは、毎月1回MEN専門外来を開設しています。詳しくはこちらをご覧ください。

 

信州大医学部附属病院セカンドオピニオン外来

信州大学医学部附属病院セカンドオピニオン外来では、MENについてのセカンドオピニオンも受け付けています。詳細や受診方法は、セカンドオピニオン外来HPをご覧ください。

 

京都大学医学部附属病院遺伝子診療部

京都大学医学部附属病院遺伝子診療部では専門の医師によりMEN(MEN1/MEN2)の診療を行っています。詳しくはこちらをご覧ください。

 

MENニューズレター「むくろじ」

MENの患者さん、ご家族を対象としたニューズレター『むくろじ』を発行しています。ご購読のお申込・バックナンバー閲覧は、こちらから。

top>MENについて>MEN1とは?>7.MEN1ではどのような治療が行われるのですか?

7.MEN1ではどのような治療が行われるのですか?

副甲状腺機能亢進症の治療

副甲状腺機能亢進症の治療は手術によって副甲状腺を取り除きますが、MEN1の患者さんにこの病気が発見されても、その時点で治療が必要かどうか判断が難しい場合がしばしばあります。手術を行うかどうかは、血液中のカルシウム濃度の他、尿中へのカルシウム排泄量(これが高いと尿路結石や腎臓の機能障害をおこしやすくなります)、骨量などを測定して総合的に判断する必要があります。骨折や尿路結石をすでに起こしている場合は積極的に治療すべきですし、年齢も手術を行うかどうかを決定する重要なことがらと言えるでしょう。治療は通常4個の副甲状腺すべてを手術で取り除き、一番小さい副甲状腺の一部を腕の筋肉の中に埋め込み(自家移植)ます。4個の副甲状腺のうち大きいほうから3個を手術で取り除き、一番小さい副甲状腺は一部だけ残して取り除く方法もありますが、治療成績は4個とも取り除いて一部を腕に埋める方法のほうが良いようです。自家移植を行うのは、副甲状腺が全くないと血液中のカルシウムが低くなりすぎて問題が出てくることや、仮に再発した場合、頸部の手術を繰り返すのは負担が大きいのに対して、腕であれば簡単に局所麻酔で再手術ができるなどの理由からです。MEN1の副甲状腺の手術後は血液中のカルシウム濃度を定期的に検査することが必要です。血液中のカルシウム濃度が低くなりすぎるのを防ぐために、手術後カルシウム製剤とビタミンDの服用が必要になる場合もあります。

 

膵腫瘍の治療

膵腫瘍の治療の原則は手術によって腫瘍を取り除くことですが、腫瘍の種類によっては薬剤による治療が中心になっています。

ガストリン産生腫瘍

MEN1に伴うガストリン産生腫瘍は小さな腫瘍が十二指腸に多発していることが多いため、手術ですべてを取り除くのは困難です。この腫瘍では胃酸分泌の過剰による胃十二指腸潰瘍が一番の問題です。過去には胃酸の分泌を断ち切るために、手術で胃を全部取り除いていた時代もあります。しかし最近は プロトンポンプ阻害剤 とよばれる、強力に胃酸分泌を抑える薬が使えるようになり、この薬を内服することでほとんどの例に対して有効な治療ができるようになりました。ただしこの薬は腫瘍そのものに働くわけではありませんので、腫瘍が大きくなってくる場合には手術を考える必要があります。

インスリン産生腫瘍

この腫瘍は低血糖という生命に危険をおよぼすこともある臨床症状を現してくるため、たとえ小さくても治療が必要になり、方法としては手術が選択されます。いくつかの薬剤も試みられることがありますが、多くの場合十分な効果は得られません。手術は腫瘍の数や位置により、腫瘍だけをくりぬくようにして取り除く手術(核出術といいます)や膵臓の一部を腫瘍と正常部分とを一緒に切除する手術が選択されます。

その他の膵腫瘍

MEN1に伴う膵腫瘍は多くの場合進行が非常にゆっくりであるため、こうした腫瘍を外科的に治療することの意義については医師の間でも異なる意見があります。一つは手術は行わずに「経過を見る」という考えです。場合によっては薬を併用していくこともあります。これは膵臓の手術は術後に重い合併症を伴う場合があるので、臨床症状から手術がどうしても必要な場合や、合併症の危険が少なく完治が期待できるような状況でない限り手術で得られるメリットは少ないという考えに基づいています。もう一つの考えは腫瘍がある程度の大きさになったら、たとえその腫瘍がホルモンを過剰に分泌していなくても早目に手術で取り除き、腫瘍が他の臓器に転移して危険を及ぼすのを防いだほうがよいというものです。この考えをさらに進めて、大きさにかかわらず腫瘍が発見された時点で手術を行ったほうがよいと考える医師もいます。しかしこうした積極的な早期の手術がMEN1の患者さんの長期の予後(経過や寿命)や生活の質を改善しているという明らかな証拠はなく、どの方法が一番良いかという問題については今後経験を積み重ねて明らかにしていく必要があります。また手術を行う場合も、 腫瘍の大きさや位置によって手術の困難度や合併症の危険性、また手術後の生活への影響などが異なってきますので、主治医とよく話し合って方針を決定していくことが重要です。

 

下垂体腫瘍の治療

下垂体腫瘍の場合も膵腫瘍と同様、腫瘍の種類によって治療法が異なってきます。

プロラクチン産生腫瘍

大部分のプロラクチン産生腫瘍は小さくホルモン過剰も軽度なので、急いで治療を行う必要はありません。プロラクチン分泌過剰による症状がある場合や腫瘍が大きい場合には治療が必要となりますが、 ドパミン作用薬 とよばれる薬がプロラクチンの合成を抑え、さらには腫瘍を小さくするのに非常に有効です。時にこの薬にうまく反応しない場合もありますが、その時には手術、放射線照射あるいはその両者が選択されます。

成長ホルモン産生腫瘍

成長ホルモンの過剰は身体にさまざまな悪影響をおよぼすので、積極的な治療が必要になります。治療法としては通常手術が選択されますが、腫瘍を完全に取り除けなかった場合は注射薬や内服薬が投与されます。注射薬は ソマトスタチン誘導体 とよばれる、ホルモン分泌を抑制する効果のある薬が用いられます。この場合は患者さんが毎日自分で注射を行う必要があります。海外ではすでに長時間作用型の製剤が用いられており、日本でも近いうちに使用できるようになると思われますが、これが使えるようになれば注射は月に1-2回で済みます。手術、薬剤によって十分な効果が得られない場合は放射線照射も行われます。

副腎皮質刺激ホルモン産生腫瘍

このホルモンの過剰によって生じるクッシング病も多彩な全身症状をきたすので、治療が必要です。成長ホルモン産生腫瘍の場合と同様手術が原則で、薬物療法や放射線照射も必要に応じて行われます。

その他の下垂体腫瘍

ホルモンを産生しない腫瘍は、小さい場合には特に治療を必要としません。腫瘍が大きくなって正常下垂体の機能に影響が出てきたり、頭痛や視野障害といった症状が出たりした場合には手術によって腫瘍を取り除きます。